DOD FX-86 vs FX-86B(Death Metal)

先日、Twitter でフォローさせて頂いているノイジシャンの方が「DOD FX-86 と FX-86B の違いはなんだろう?」とツイートされていました。ノイズ界隈では FX-86B が絶対視されているとのことなので、その線で FX-86B の情報を Google で検索してみると、確かに EQUIPBOARD というサイトのこのページに Merzbow の使用機材としてリストされているのを確認することができました。

次に「FX-86 vs FX-86B」というワードで検索してみたところ、America’s Pedal : FX86B Death Metal Distortion というページを見付けました。このページの記述(以下の引用)を見る限り、仕様面では大きな違いはないように見えますが、関連情報として紹介されている FX-86 側の記載と読み比べてみると、使用されているオペアンプは異なっていることが確認できます。

DOD introduced the FX86B Death Metal Distortion in 1998, replacing the FX86 in DOD’s lineup. Although its circuit was updated for the final chassis design, there was little difference between the two versions (and early ad copy simply referred to the new pedal as the “FX86”, without the “B” designation). The vast majority of FX86B Death Metal Distortion pedals were made in China as part of the “VFX” series, but at least the very first production run was made in the U.S.A.(原文)

DOD は1988年に FX86B Death Metal ディストーションを導入し、DOD のラインアップで FX86 を置き換えました。その回路は最終的なシャーシデザインのために更新されましたが、2つのバージョンの間にはほとんど違いがありませんでした(初期の広告コピーは単に “FX86” と呼ばれ、 “B” の指定はありません)。FX86B Death Metal ディストーションペダルの大半は、中国で「VFX」シリーズの一部として製作されましたが、少なくとも最初の生産は米国で行われました。(Google 翻訳)

YouTube で検索してみると、ギタリストによる DigiTech 版 Death Metal との比較動画はいくつか確認できましたが、FX-86 と FX-86B を比較した動画は存在しませんでした。このことから、少なくともギタリスト視点では FX-86 と FX-86B に違いは認められていない(興味がない)と言えそうです。

はたして FX-86 と FX-86B に明確な違いはあるのか …? タイミング良く Yahoo! オークションに FX-86B が即決出品されていたので入手し、ギタリストでもノイジシャンでもない、ただの機材好きという立場から比較をしてみることにしました。

FX-86 vs FX-86B
FX-86 vs FX-86B

検証環境として、MASF Pedals HALOTHAN を A/B スイッチャーモードで使用します。両ペダルの結線には差が出ないよう、ケーブルのブランドと長さは共に同じ製品で揃え、電源供給は VooDoo Lab Pedal Power 2 Plus で行なっています。

比較の音素材は以下の4パターンを用意しました(素材のチョイスには深い意味はありません)。

それぞれの音素材は tc electronic Ditto Looper に録音し、アウトプットからのシグナルを二股ケーブルで分岐させて両ペダルのインプットへ送っています。ペダルのセッティングは全てのコントロールを 12:00 の位置にしています。エフェクトシグナルの録音は、HOLOTHAN からのアウトプットを Blackstar ID:CORE B・E・A・M につなぎ、SHURE SM57 を立てて、RME Fireface 800 のマイクプリを経由し Sony Sound Forge Pro Mac 2 で行いました。

Amp Setting
こんな感じで録りました

ID:CORE B・E・A・M にはアンプのモデルとして、ギター、アコースティックギター、ベースが選べるので、ベースサンプルの録音ではベースアンプ、それ以外のサンプルはギターアンプを選択しました。

結論から言ってしまうと、大差はなく、各コントロールを変化させても音の方向性に差が出ることはありませんでした。自分が感じ取れた違いとしては、FX-86 は若干トレブリーでノイズが目立ち、FX-86B より音が軽く感じられました。ただその点が幸い?してなのか、コンタクトマイクの使用時にはフィードバックを発生させ易かったです。あと、FX-86 の方が音素材のディティールが崩れ(潰れ)やすいかなと感じました。

もともと FX-86 の音の傾向や操作性は気に入っていましたが、高域とノイズの低減、音の重心が少し下がり音にコシを感じられた今回の比較用に入手した FX-86B が好印象でした。コンタクトマイクを試した際に感じたのは、高域とノイズ成分がメタリックな響きを醸し出すことに貢献していると言え、その点では FX-86 も捨てがたいと感じました。

今回はペダル1台ずつでの比較しかやっていませんが、機会があったら手持ちの Vanilla Electronics のデバイス を加えたセッティングも試してみたいですね。あと DigiTech 版 Death Metal も加えてみたり。

最後に、今回の比較で作成した音素材をSoundcloud にアップロードしプレイリストにまとめたものを掲載しておきます。各プレイリストの並び順は以下の通りです。

  • 元素材(Ditto Looper からラインで直録り)
  • バイパス音
  • FX-86 を通した音
  • FX-86B を通した音

ギター(サンプリング CD : Zero G “Guitar Odyssey”)

パーカッション(サンプリング CD : Zero G “Junk Percussion”)

ベース(サンプリング CD : EAST WEST “PS03 Drum & Bass 1″)

コンタクトマイク(MASF Pedals “SCM”)

久し振りにペダルエフェクターをアレコレ試しましたが楽しいですね。結線とかは相変わらずメンドくさいですけど …