コンパクトエフェクターをユーロラックで使ってみる

コンパクトエフェクター
KATANASOUND “青線”

バンドをやっていた人なら必ず1個は持っているであろうコンパクトエフェクター。ギターやベース用途のものでも、マイクに繋いだり MTR に繋いだりと何かと活躍の場は多いです。そんな便利なコンパクトエフェクター、ユーロラックモジュラーシンセでも活用したい!と思いませんか? 今回はそのニーズに答えるモジュールを紹介していきます。

ギターやベースと接続することが前提のコンパクトエフェクターを、ユーロラックモジュラーシンセに接続するためには、この双方が扱える電圧の差を何らかの形で辻褄を合わせてあげる必要があります。その辻褄合わせに特化したモジュールがいくつかリリースされていて、現行モデルですと、以下の5製品が代表的なモジュールかと思います。

どのモデルにも共通する機能としては「ユーロラックモジュラーのシ​​ステムにコンパクトエフェクターを組み込むために信号を適切に減衰(して SEND)・増幅(して RETURN)させる」ことでしょう。これに加えて、各モデルの付加機能を簡単に挙げてみます。

  • Malekko Heavy Industry : SND / RTN = Dry / Wet バランスを電圧コントロールできる。
  • Bastl Instruments : Hendrikson = Dry / Wet バランスを電圧コントロールできる。
  • ALM – Busy Circuits : S.B.G = モジュラーで生成した CV をエクスプレッションペダル入力シグナルとして利用可能。
  • XAOC Devices : Sewastopol = エンベロープフォロワー。コンパレータを併用したトリガー/ゲート生成。
  • The Harvestman : Black Locust (Model 1979) = 4系統の SEND / RETURN とフィードバックループ機能。

SND / RTN、Hendrikson の Dry / Wet バランスは、エフェクトシグナルの割合を CV でコントロールするもので、機能としてはシンプルなものかと思います。S.B.G は Strymon “TIMELINE” や electro-harmonix “Deluxe Memory Boy” のようなエクスプレッション入力のあるコンパクトエフェクターのモジュレーションソースとしてユーロラックモジュラーで生成した CV を利用できる点がユニークです。Sewastopol はエンベロープフォロワーで RETURN シグナルの音量変化から CV(ボリュームエンベロープ)を出力したり、その CV の変化と任意の閾値、またはコンパレーターに入力されたシグナルとの比較で GATE を出力したりすることが可能です。

以下は Reverb.com による Bastl Instruments : Hendrikson の紹介ビデオです。前半はギターを Hendrikson に直接入力して、フィルター(intellijel : Polaris)やリバーブ(Make Noise : Erbe-Verb)で加工していて、後半は BOSS 「技」 Waza Craft CE-2W にモジュールのシグナルを SEND / RETURN してコーラス効果をミックスしていますね。

そして以下は ALM – Busy Circuits による S.B.G の製品紹介ビデオです。初めにモジュラーからのシーケンスを electro-harmonix “Deluxe Memory Boy” に SEND / RETURN し、その後にモジュラーの LFO シグナルを Deluxe Memory Boy のエクスプレッション入力に送って Delay Time をモジュレーションしています。Deluxe Memory Boy 以外に Strymon “Big Sky”Red Panda “Particle” のエクスプレッション入力のデモも確認できます。

SND / RTN、Hendrikson、S.B.G、Sewastopol は未所有なので、当方所有の Black Locust の機能と使い方についてこの記事では紹介したいと思います。

The Harvestman : Black Locust
The Harvestman : Black Locust

Black Locust はコンパクトエフェクターやギター/ベースをユーロラックモジュラーのシステムに接続することができるチャンネルを4系統備えたモジュールです。それぞれの接続方法がモジュールのフロントパネルにプリントされていますが、コンパクトエフェクターへ SEND / RETURN を行う場合には TRS インサートケーブルを、ギターやベースには TS ケーブルを使用します。RETURN シグナルのゲイン調整を GAIN コントロールで、WET / DRY MIX ノブでエフェクト信号の割合を調整します。

4つのチャンネルにそれぞれコンパクトエフェクターを繋ぎ、個別に使用出来るのは勿論ですが、各チャンネルの INPUT / OUTPUT をパッチケーブルで繋ぐことで、チャンネル1(例:歪み系)→ チャンネル3(例:ディレイ系)や、チャンネル4(例:モジュレーション系)→ チャンネル3(例:ディレイ系)という具合に接続順の変更することも可能です。この辺りはコンパクトエフェクターを多用するギタリストの多くが採用しているスイッチャーの考え方に似ていますね。

Free The Tone - ARC-53M
スイッチャー(Free The Tone – ARC-53M)

出荷時には、モジュールの背面にデフォルトで4つのジャンパーが取り付けられています。これらのジャンパーが存在すると、各チャンネルの出力は次のチャンネルの INPUT に標準化され、チャンネル4の出力はチャンネル1の入力に送られます。これにより INPUT ジャックのいずれにもケーブルが接続されていないと、4つのチャンネルに接続されているコンパクトエフェクターは、閉じられたフィードバックループの状態で動作するようになります。

Black Locust Rear PCB
背面(基盤右下がジャンパー)

フィードバックループ内で生成されるシグナルは、任意の OUTPUT ジャックからモニター(取り出す)ことが可能(各 OUTPUT で出力されるシグナルは異なります)です。GAIN や WET / DRY コントロール、コンパクトエフェクター自体のコントロールで、フィードバックループで生成される信号に影響を与えることができます。

フィードバックループ機能を試すために4つのチャンネル全てにコンパクトエフェクターを接続する必要はありません。例えば3台のコンパクトエフェクターでフィードバックループをさせたい場合、3台のコンパクトエフェクターをチャンネル1〜3に接続し、チャンネル3の OUTPUT をチャンネル1の INPUT に戻すだけです。

フィードバックループ内のチャンネル間にモジュール(フィルタ等)を組み込みたい場合は、最初のチャンネルの OUTPUT をモジュールの入力へパッチし、モジュールからの出力を次のチャンネルの INPUT に入力します。

The Harvestman はフィードバックループ内に歪み系とディレイ系のエフェクトを組み込むことを推奨しているようです。歪み系はフィードバックの繰り返しを発生させるのに必要なゲインを追加し、ディレイ系はフィードバックループの生成に面白い効果をもたらしてくれるでしょう。フィードバックループのコントロールは非常に難しいのですが、コンプレッサーやリミッター等のダイナミクスをコントロール可能なエフェクトを上手く使うことがキモになってくるかと思います。

Malekko Heavy Industry : SND、ALM – Busy Circuits : S.B.G 辺りは価格が手頃なのでオススメですが、多くのコンパクトエフェクターで色々実験してみたい!という方には The Harvestman : Black Locust をオススメしたいですね。

先に挙げた Black Locust を含む5つのモジュールですが、Bastl Instruments : Hendrikson はギズモミュージックさん、それ以外は Clock Face Modular さんでそれぞれ取り扱いがあります。